【アップデート・ログ】アナログ規制って何?──介護認定が40分→5分に、AIと人が力を合わせた行政DXの最前線
- HIDETO KAWASAKI

- 4月1日
- 読了時間: 8分
この記事は、音声配信「川崎ひでとのアップデート・ログ」をAIで要約したものです。(使用AI:Claude / Anthropic)
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はじめに──4月1日、新年度スタート
どうも、川崎ひでとです。今日も聞いていただいてありがとうございます。
今日は2026年4月1日、水曜日。新年度のスタートです。
今日のアップデートログでは、デジタル庁が今まさに力を入れて取り組んでいる「アナログ規制の見直し」について、改めてしっかりお伝えしたいと思います。
デジタル庁のニュースレターでも、ここ数日間この特集を組んで発信しているところです。でも「そもそもアナログ規制って何?」という方も多いと思うので、まずそこから丁寧に説明した上で、全国の自治体で実際に起きている成功事例を3つ紹介させていただきます。
「アナログ規制」とは何か
アナログ規制という言葉、あまり聞き慣れないですよね。
一言で言うと、法律や条例の中に残っている「昔ながらのやり方でなければダメ」というルールのことです。
たとえば、こんなものです。
「必ず職員が現地に行って、目で確認しなさい」
「紙の書類を窓口に持参しなさい」
「掲示板に張り出しなさい」
こうしたルールが、これまで全国に何千件・何万件も残っていました。
これらのルールが制定された当時は、それが合理的な方法だったはずです。当時の技術ではそれしかできなかったから。ただ今の技術水準であれば、デジタルでもっと正確に、もっと早く処理できることがたくさんあります。なのに法律や条例が古いままだから使えない——それがアナログ規制の本質です。
コロナ禍で話題になった「ハンコを押すためだけに出社する」問題も、まさにアナログ規制の一例でした。あれを見た時、多くの方が「おかしい」と感じたはずです。
国レベルでは完了率98%に到達
こうしたアナログ規制について、国はすでに大きく動いてきました。
目視確認・押印・常駐選任・対面対応など、やり方を縛った法律や条例を洗い出したところ、約1万条項にのぼりました。それを一気に見直しをかけた結果、現在の完了率は98%近くに達しています。ほぼ100%に近い状態で、国レベルのアナログ規制は変えられるところまで来ています。
ただ、課題が残っています。それが地方自治体です。
各自治体は独自の条例・規則を持っているため、国が一括して変えることはできません。それぞれの自治体が自ら取り組まなければなりません。
とはいえ現場の自治体は日頃の業務でパンパンな状況です。DXへの転換は通常業務のプラスアルファになるため、なかなか着手できないという声も聞こえてきます。「人員もいない」「業務のやり方が変わることへの不安がある」「なんとなく腰が重い」——そういう自治体がまだ多いのが現状です。
だからこそデジタル庁では、成功事例を積極的に発信しています。「やればできる」という実証を届けることで、一歩踏み出す勇気を後押ししたい。そういう思いで取り組んでいます。
今日はその成功事例を3つ、ご紹介します。
事例①:福島県郡山市──介護認定の確認時間が40分→5分に
年間1万7000件、職員を苦しめていた膨大な事務作業
まず最初は、福島県郡山市の事例です。テーマは「要介護認定事務の効率化」です。
皆さんのご家族に介護が必要になった時、市役所に申請をして「介護度の認定」を受けますよね。この認定手続きの裏側では、膨大な事務作業が発生しています。
郡山市では年間1万7000件以上の申請があり、職員が74項目にわたる認定調査票を1件ずつ目視で確認していました。1件あたりの平均確認時間は40分。チェック項目が多い上に、手書きの癖があって読み取りに時間がかかる。見落としのリスクもある。
その結果、担当職員の残業時間は月平均43時間。これは市全体の平均の約4倍という異常な水準でした。現場は完全に限界を迎えていたわけです。
AIが「疑義マーク」を付け、人間が最終確認する仕組み
そこで郡山市が導入したのが、AIの自然言語処理技術を活用した新しいシステムです。
仕組みはシンプルです。認定調査票の基本調査のチェック項目と、特記事項の記述内容に矛盾がないかをAIが自動チェックします。AIが「ここは不整合がありそうだ」と判断した箇所に疑義マークを付け、そのマークがついた箇所だけを職員が目で確認するという流れです。
AIが一次チェックを担い、人間が最終判断をする——この役割分担が劇的な変化をもたらしました。
確認時間:1件40分 → 5分(87.5%削減) 残業時間:月43時間 → 月13時間(約3分の1に削減)
さらに、年間380回開催していた要介護認定審査会もオンライン化。以前は毎回、大量の紙資料を印刷・製本・郵送していたものが、タブレットによるペーパーレス・オンライン参加に切り替わりました。委員の方々が移動する必要もなくなり、負担が大幅に軽減されています。
「AIに100%を求めない」という発想の転換
この事例で印象的だったのが、DXを推進した担当者のコメントです。
「AIに100%の精度を求めがちだが、AIが80%を担って、残りの20%を人間が担保すれば十分に業務効率化できる。アナログとデジタル、人とAI、両方の力を合わせることが大切だ」
この言葉、本当にその通りだと思います。AIは完璧でなくていい。人間と組み合わせることで、初めて大きな力を発揮する。この視点の転換が、現場のDXを一気に加速させました。
事例②:秋田市──担当者1人が2ヶ月で858件を点検
「アナログ規制とは何ぞや」という状態からのスタート
2つ目は、秋田市の事例です。
秋田市には市長直轄のデジタル化推進本部が設置されており、アナログ規制の見直しは2025年5月に着任した1人の主査が主担当として進めています。
その主査が着任した時の状態が、「アナログ規制とはなんぞや」というレベルだったそうです。何もわからない状態からのスタートでした。
にもかかわらず、この主査は驚くべき結果を出しています。
2ヶ月で858件の条例・規則を点検完了
約4ヶ月で2000件の要項・要領の点検まで完了
どうやってこれを実現したのか。3つのポイントがあります。
ポイント①:AIを相談相手にする
デジタル庁が公開しているマニュアルや参考資料をAIに学習させ、「この条文はアナログ規制に該当するか?」をAIと対話しながら判断していきました。さらにこの主査は、専用のプロンプト(AIへの指示文)を自作して効率化を図ったといいます。まさに「使えるものは全部使う」という姿勢です。
ポイント②:RPAで繰り返し作業を自動化
858件のファイルを一つひとつ開いてキーワード検索する、という繰り返し作業をRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)で自動化しました。人がやれば膨大な時間がかかる単純作業を、ロボットに任せてしまうわけです。
ポイント③:「仮判定」で絞り込んでから渡す
858件のうち、明らかにアナログ規制に該当しないものを主査が先に除外。規制所管部門に判断を求める項目を65件まで絞り込んでから担当部署に渡しました。余計なものをそぎ落として、本当にチェックが必要なものだけを届ける。この「枝払い」のひと手間が、全体の作業効率を劇的に高めました。
担当者のコメントがこれまた印象的でした。「使えるものは何でも使うという姿勢が、作業の効率化につながった」。シンプルだけど、本質を突いた言葉だと思います。
事例③:福岡県築上町──人口1万6000人、係長1人の奮闘
「また遅れてしまう」という危機感が行動を生んだ
3つ目は、**福岡県築上町の事例です。
人口約1万6000人の小さな町です。職員数も200人ほどと少なく、「DXを推進したくても人手が足りない」という状態が続いていました。
そんな中で、1人の係長がアナログ規制の見直しに踏み切りました。動機は、危機感でした。
この町では、アナログ規制の代表例である「押印の見直し」への着手が、他の自治体より3〜4年遅れてしまっていた。その反省が頭にありました。「アナログ規制でも後回しにしたら、また同じことが起きる。やるなら今しかない」。そう決断した係長は、デジタル庁の個別支援制度に自ら応募してきてくれました。
「何が何でもやり遂げる」という強い意志
デジタル庁と一緒に取り組みを進めた結果、小さな町でも着実にアナログ規制の見直しを完了させることができました。
この事例が教えてくれるのは、規模の大小は関係ないということです。人員が少なくても、予算が限られていても、「今やる」という意志と「やり遂げる」という覚悟があれば、DXは実現できます。
「今やらないと、もっと辛くなる」
この3つの事例に共通しているのは、現場の人間の熱量と危機感です。
全国の市役所は今、日頃の業務だけで手いっぱいです。その上でDXへの転換という追加業務に向き合うのは、確かにきつい。よく分かります。
でも、だからこそ今やるべきなんです。
日本は今後、急速な人口減少が進みます。市役所の職員数も当然減っていきます。人が減った状態でDXの過渡期を迎えることになれば、もっと辛い思いをすることになります。「今やれば3人でできることが、5年後には1人でやらなければならなくなる」かもしれない。
やるなら今のうち。
この言葉を、全国の自治体の皆さんに伝えたいと思います。デジタル庁は伴走型支援をしっかりやります。郡山市・秋田市・築上町のように、困ったときはデジタル庁を頼ってください。皆さんの取り組みを、精一杯サポートします。
おわりに
今日のアップデートログでは、「アナログ規制の見直し」について、その意味から現場の成功事例まで幅広くお伝えしました。
難しい言葉に聞こえるかもしれませんが、要は「時代遅れのルールをアップデートして、人とAIが力を合わせてもっと良い行政を作ろう」という取り組みです。
介護認定の確認が40分から5分になれば、その分だけ職員は住民と向き合う時間を取れます。繰り返し作業をAIに任せれば、人間はもっと創造的な仕事に集中できます。DXは、人を楽にするためのものです。
それでは今日も一日、張り切ってまいりましょう。じゃあね。
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