国民の安全・安心を支える上下水道の強靭化に向けて~水道・下水道事業促進議員連盟合同会議を開催~
- ひでと 川崎
- 2 日前
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こんにちは。
2025年9月10日、自民党本部において水道事業促進議員連盟・下水道事業促進議員連盟合同会議を開催いたしました。本会議では、令和8年度予算概算要求についての説明を受けるとともに、関係団体からのヒアリングを通じて、上下水道を取り巻く現状と課題について議論を深めました。

八潮市陥没事故を受けた対応強化
会議では冒頭、国土交通省高橋副大臣から、本年1月に発生した埼玉県八潮市の下水道管路に起因する大規模道路陥没事故について報告がありました。設置から42年が経過した下水道管が原因となったこの事故は、残念ながら人命が失われる深刻な事態となりました。
国土交通省では有識者委員会を設置し、これまでに2度にわたって提言を取りまとめ、再発防止策を検討してきました。第2次提言では、点検調査の高度化、リダンダンシー(冗長性)の確保、メンテナビリティを備えたシステムの再構築、デジタル技術の活用による情報の統合化などが盛り込まれています。
令和8年度概算要求の概要
国交省及び環境省からそれぞれ令和8年度概算要求の概要をお伺いいたしました。主なポイントは以下のとおりです。
予算規模の大幅拡充
個別補助金:対前年1.20倍の1,660億円
交付金:同じく1.20倍の1兆6,046億円
さらに事項要求として別額を要求
要求の基本的考え方
八潮事故を踏まえた上下水道の老朽化対策
上下水道の運営基盤の強化
具体的な施策
事故発生時に社会的影響が大きい基幹管路の更新
基幹管路のリダンダンシー(代替ルート)の確保
経営広域化の推進
分散型システムの導入
DX技術の導入支援
PFAS(有機フッ素化合物)対応の強化
関係団体からの切実な要望
日本水道協会
老朽化による事故リスクの増大、災害に備えた耐震化の推進など、水道事業を取り巻く課題は深刻です。令和6年能登半島地震では、耐震化されていない管路を中心に壊滅的な被害を受けました。災害に強い施設整備のためには、国の財政支援が不可欠であることが強調されました。
全国簡易水道協議会
簡易水道を運営する小規模自治体では、人口減少・過疎化により水道料金収入が減少する一方、地理的条件の悪さから維持管理費が割高になっています。特にPFAS対応については、検査費用の負担が事業運営を圧迫する深刻な問題となっています。
日本水道工業団体連合会
資材費・労務費の高騰、老朽化施設の更新需要増大の中、次世代に安全・安心な上下水道を継承するため、国土強靭化実施中期計画に基づく予算の重点化を要望されました。
日本下水道施設管理業協会
全国1,164カ所の下水道処理施設の管理を担い、24時間365日止めることのできない重要インフラを支えています。適正な管理体制確保、物価・人件費上昇への対応、人材確保などが課題として挙げられました。
議員からの重要な指摘
財源確保の重要性 鬼木議員からは、ガソリン暫定税率廃止論議に関連し、道路財源が下水道整備にも活用されている現状を踏まえ、代替財源確保の重要性が指摘されました。

能登半島地震の教訓 西田議員からは、能登半島地震の被災地として、災害時の上下水道の重要性と、老朽化対策・耐震化の緊急性が強調されました。復旧には何十年もの時間が必要との試算もあり、予算確保の重要性が改めて確認されました。

PFAS対応の負担軽減 深澤議員からは、簡易水道組合の厳しい経営状況を踏まえ、PFAS検査費用の負担軽減策について具体的な質問がありました。環境省からは検査頻度の軽減措置について説明がありましたが、小規模事業者への配慮の必要性が浮き彫りになりました。

今後の取り組み方針
本会議での議論を踏まえ、以下の点に重点的に取り組んでまいります:
予算確保への全力対応
令和8年度予算編成において、概算要求の満額確保
事項要求分を含めた必要予算の確実な措置
小規模事業者への配慮
簡易水道事業者の実情に応じたきめ細かな支援策の検討
PFAS対応における費用負担軽減策の具体化
広域化・DXの一体的推進
単独では困難な取り組みを共同で実施するモデルケースの創出
効率的なシステム構築に向けた指針の策定
災害対応力の強化
リダンダンシー確保による災害時の代替機能の整備
老朽化対策の計画的推進
おわりに
上下水道は国民生活と経済活動を支える最も重要な社会インフラの一つです。八潮市の事故や能登半島地震の教訓を踏まえ、「事故が起きてから対応する」のではなく、「事故を未然に防ぐ」予防保全の考え方で取り組むことが重要です。
また、人口減少・高齢化が進む中で、特に小規模事業者への配慮を欠かすことはできません。全国どこでも安全で安心な水道水が供給され、適切な下水処理が行われる環境を次世代に継承していくため、議員連盟として引き続き全力で取り組んでまいります。
関係省庁、関係団体の皆様と連携を密にし、国民の安全・安心を守る上下水道の強靭化に向けて、より一層努力してまいります。

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