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そういえば、消費税の「使い道」って?

こんにちは。衆議院議員の川崎ひでとです。



物価高で家計が苦しくなる今、「減税」は耳ざわりが良く、参議院選挙の街頭でも大きなテーマになっています。


しかし “そもそも消費税は何に使われているのか”──この基本を知らずに議論を進めては、将来世代に禍根を残しかねません。



改めてこのテーマを今回考えようと思います。きっかけをくれたのは先輩であり、大変お世話になっている牧島かれん衆議院議員のブログです。


皆様もぜひご一読ください。


⒈ そもそも消費税とは?



ここは流石に言わずもがなだと思いますが、改めて消費税とはなんでしょうか。

  • 日々の買い物やサービス利用のたびに、すべての世代が広く薄く負担。

  • 景気に左右されにくく、高齢化で増え続ける社会保障費を安定的に支える税


この「社会保障費を安定的に支える税」というのがポイントです。



⒉ 法律が定める4つの目的――「年金・医療・介護・子育て」


牧島かれん先輩のブログにもあるように、消費税法第1条2項には「収入は年金・医療・介護・少子化対策の経費に充てる」と明記されています。地方税法・財政法もこれを受け、同様の使途としています。

【消費税法】


第一章 総則


(趣旨等)


第一条 この法律は、消費税について、課税の対象、納税義務者、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものとする。



2 消費税の収入については、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)に定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする。

地方税法第72条の116


1 道府県は、前条第二項に規定する合計額から同項の規定により当該道府県内の市町村に交付した額を控除した額に相当する額を、消費税法第一条第二項に規定する経費その他社会保障施策(社会福祉、社会保険及び保健衛生に関する施策をいう。次項において同じ。)に要する経費に充てるものとする。


2 市町村は、前条第二項の規定により道府県から交付を受けた額に相当する額を、消費税法第一条第二項に規定する経費その他社会保障施策に要する経費に充てるものとする。





⒊ 数字で見る令和7年度――“24.9兆円”はこう生きる


[収入]. 消費税収 24.9兆円(国税・249,080億円:歳入全体の21.6%)

[支出]. 社会保障関係費(国費) 38.3兆円(歳出の56.2%)(政府案修正後ベース)(財務省)



つまり、消費税だけでは社会保障費を賄い切れず、残りは保険料と国債で穴埋め。減税で税収を削れば、同額の医療・年金サービスを減らすか、借金を増やすかしか選択肢はありません。


⒋ “140兆円”というリアル――給付総額とのギャップ


日本全体(国・地方・保険料)の社会保障給付費は年間140.7兆円


消費税はその2割にも届きません。増え続ける給付を安定的に支えるには、景気に左右されにくい広く薄い税が不可欠――これが消費税が“最後の砦”と呼ばれる理由です。(厚生労働省)



⒌ 3%→5%→8%→10%――負担の歴史と背景



1989年3%でスタートした消費税は1997年に5%、2014年に8%、2019年に10%へ。引き上げのたびに「増収分は社会保障へ」が法律と予算で担保されてきました。


背景は高齢化による給付膨張と世代間公平――つまり若い世代ほど“恩恵を先払い”で受けている制度なのです。(財務省)



6. 野党の「消費税減税」はなぜ危ういか

私も減税を頭から否定しません。しかし、代替財源なき減税は次の二択を迫ります。


  1. 給付カット――医療費自己負担増、年金水準引下げ、介護サービス縮小…

  2. さらなる国債――結局は将来世代の増税かインフレで帳尻合わせ


上記1.2の選択肢はいずれも飲めません。これは皆様も同じでしょう。



  1. 代替財源の提示


  2. 将来世代への負担シミュレーション


  3. 社会保障サービス水準の具体的見通し


――この3点抜きの主張は、無責任と考えます。残念ながら、野党の「消費税減税」「社会保険料の軽減」などの案は、これらを十分に示せていません。



⒎早期に取り組まなければならないこと


余談(でもないですが)ですが、政府がスピードを持ってやるべき内容は以下だと考えています。


  • 歳出改革――デジタル化と重複事業の統廃合で無駄を削減

  • 成長戦略――AI・Web3・GX投資で税収のパイを拡大

  • 社会保険改革――給付と負担のバランスを見直し、世代間の納得感を確保

  • 的を絞った軽減策――低所得層や子育て世帯への軽減策の構築


これらの実行は消費税率そのものをいじらずとも、可処分所得を底上げする方法であると思っています。



⒏ 地方の現場から――三重2区で見える課題


鈴鹿市の介護現場では「人手不足+物価高+利用者負担増」の三重苦。名張・伊賀の若い子育て世帯は「保育園も医療も値上げされたら東京に出る」と不安を漏らします。


社会保障サービスが揺らげば地方は真っ先に疲弊する――だからこそ財源論は避けて通れません。



9. “安定財源×成長”こそ未来への投資


消費税は「全世代型社会保障」への会費です。将来世代を守るには、


  • 負担の先送り(赤字国債)を極力縮小

  • 税外収入(基金返納金等)の一過性に頼らない

  • 人への投資(教育・子育て)と成長投資(科学技術・スタートアップ)を両立


この3本柱を同時に走らせる財政運営が必要です。数字の裏付けなく「減税」を叫ぶだけでは、結局“子どもたちの財布”から抜き取る結果になります。



10. まとめ


  • 消費税は法律で年金・医療・介護・子育てに“全額充当”と決定済み

  • 令和7年度時点で24.9兆円の税収に対し、社会保障関係費は38.3兆円

  • 給付総額は140兆円超――消費税を減税するなら、削減か借金のどちらか

  • 代替財源を示した上で家計を助ける具体策こそ、責任ある減税



甘い言葉だけが並ぶ選挙に終止符を打ち、「事実と数字に基づく安心」を示す政治を取り戻しましょう。



私は、これからも根拠ある政策と前向きな改革で、皆さまの暮らしと未来を守り抜く覚悟です。ともに、持続可能な日本を創っていきましょう!


 
 
 

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